(2020年新設)脳病態解析分野:松井研究室
新潟県 新潟大学 脳研究所(募集区分:修士、博士)
ヒトは受精卵から様々な発生過程を経て成長していきます。元来生物は細胞分裂で増えることで親と子は同じ遺伝子を持つものでした。しかし、ヒトの遠い祖先にあたる生物は両親からそれぞれ遺伝子を受け継ぎ、さらに様々な遺伝子の変化を許容することにより、子が両親や兄弟とは異なる遺伝子をもつという選択肢をとりました。そのためヒトは様々で個々に違うことが当然であり、それが種全体としては、環境の変化に強い、力を合わせることできる、などのとても魅力的な形質につながっています。
この形質のためにヒトには”世代を超えてつながる生殖細胞”と”それを守る体細胞”があります。ヒトが若い世代を育みながら老いる様に、体細胞は生殖細胞を守る長い年月の間にDNA等に障害を蓄積していきます。加齢とともに核の中の傷ついたDNAは、核膜から漏れ細胞質に出てしまいます。そのことが様々な老化関連の現象を惹起することがわかっています。私は老化には抗えないのではないかと考えています。しかし病気の中には、認知症、運動障害、筋萎縮、脂肪肝、一部の心不全、などのように老化と強い関係があり、予防や治療を必要としているものがあります。これら加齢関連疾患が完全に老化とイコールではありません。年をとって筋萎縮などがあっても認知機能のしっかりした方がいるように、老化と各種の加齢関連疾患は分離可能なものであるはずです。私達は様々な加齢関連疾患に共通する細胞内のイベント、一方でそれぞれの加齢関連疾患に固有の誘引、それらを同定する研究を行っています。そしてパーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、多系統萎縮症、心不全、サルコペニア、肝不全、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、腎不全などの難病の病態を解明しようとしています。
ヒトは様々で個々に違うことがかえがたい魅力である一方で、多種多様であること、遺伝子の変化が起こりやすいことなどから、ある時代・ある環境では生きることによりチャレンジを要するヒトもたくさんいます。小型魚類は発生過程の観察が容易であり、発生過程に起きる発達障害の研究に適しています。中でも特に神経精神に関連した発達障害に焦点を当て、その新しいメカニズムを見出すことで、障害の理解につなげます。
松井研究室の主な研究成果
著者名 Matsui, H (教授) et al.,
雑誌名 Nature Communications (2021.05)
プレスリリースはこちら(日本語)
著者名 Matsui, H (准教授) et al.,
雑誌名 Cell Reports (2019.02)
著者名 Matsui, H (博士研究員) et al.,
雑誌名 Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2014.06)
著者名 Dougnon, G (助教) et al.,
雑誌名 Int. J. Mol. Sci (2022)
著者名 Mohammad, H (博士研究員) et al.,
雑誌名 Front. Neuroanat (2022)
著者名 Oginuma, M (共同研究) et al.,
雑誌名 Sci. Rep (2022)
著者名 Dohi, E (助教) et al.,
雑誌名 Front. Genet (2022)
著者名 Kodera, K (大学院生) et al.,
雑誌名 Neuroreport (2022)
著者名 Mohammad, H (博士研究員) et al.,
雑誌名 Curr. Issues Mol. Biol (2022)
著者名 Kodera, K (大学院生) et al.,
雑誌名 Int. J. Mol. Sci (2022)
著者名 Sakai, A (助教) et al.,
雑誌名 Neural Regen. Res (2022)
著者名 Matsui, H (教授) et al.,
雑誌名 Nat. Commun (2021)
著者名 Nyuzuki, H (大学院生) et al.,
雑誌名 IBRO Rep (2020)
著者名 Sato, H (共同研究) et al.,
雑誌名 Digest. Dis. Sci (2020)
著者名 Matsui, H (准教授) et al.,
雑誌名 Cell Rep (2019)
著者名 Ozawa, T (共同研究) et al.,
雑誌名 Auton. Neurosci (2019)
著者名 Matsui, H (准教授) et al.,
雑誌名 J. Neural. Transm. (2018)
著者名 Matsui, H (准教授) et al.,
雑誌名 J. Neural. Transm. (2017)
著者名 Matsui, H (准教授) et al.,
雑誌名 PLOS ONE (2017)
著者名 Matsui, H (准教授) et al.,
雑誌名 Dev. Growth Differ. (2017)
著者名 Matsui, H (准教授) et al.,
雑誌名 Neurosci. Res (2017)
著者名 Sugie, A (共同研究) et al.,
雑誌名 J. Vis. Exp (2017)
研究室には様々な能力が必要です。むしろ多様な方がいいので医学部出身である必要は全くなく、理学部、農学部、工学部、獣医学部、薬学部、生命科学関連、その他、いずれもその特徴を活かせる研究環境です。実際に現在も理学部出身、薬学部出身のスタッフが中心的役割で活躍しています。脳研究所には他にも工学部、獣医学部、農学部など様々な出身の教員がいます。それらのバックグラウンドを活かし脳研究所で活躍し、そのまま脳研究所や新潟大学でさらに飛躍する、海外へ留学する、国内外の他の研究機関で昇進する、企業などに就職する、様々な選択肢が存在します。私達の研究室はわくわくする研究である一方、対象が難病や障害あるいは老化であるため、製薬企業さんや食品会社さんとの共同研究もあり、社会の役に立っていることを日々実感することもできます。
博士課程に進学を考えているみなさんは、新潟大学における博士後期課程学生の処遇向上とキャリアパスの支援事業(フェローシップ支援事業)も参考にしてください。
・新潟大学助教
・治療関連企業
・研究所室長
・臨床医
〒951-8585 新潟市中央区旭町通一番町757
脳研究所 脳病態解析分野
令和4年度 4月期入学者についての入試情報 (令和3年 9月13日更新)
<<注意>>
新型コロナウイルスの影響により、試験の情報が急に変更になる可能性があります。
【修士課程】
医歯学総合研究科 医科学専攻
<試験日程>
第1次募集:2021年 8月 18日
第2次募集:2021年 12月 8日
第3次募集:2022年 2月 2日
募集定員に達した場合、第2次募集、第3次募集を実施しないこともあります.
<入試科目>
・外国語 (英語)
・面接
※英語試験は辞書の持ち込み可.
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【博士課程】
医歯学総合研究科 医学系専攻
<試験日程>
第1次募集:2021年 8月 18日
第2次募集:2021年 12月 8日
第3次募集:2022年 2月 2日
<入試科目>
・外国語 (英語)
・専門科目
※英語試験は辞書の持ち込み可.
※専門科目は筆記, 口述, 筆記及び口述のいずれかになります.
研究室概要
<メンバー構成>
松井 秀彰 教授
菱田 竜一 准教授
山中 智行 准教授
大塚 尭慶 助教
酒井 晶子 助教
Godfried Dougnon 助教
入月 浩美 助教 (ゲノム医療部)
実験補佐員 3人
博士研究員 1人
博士学生 4人
学部生 2人
<研究室URL>
https://www.bri.niigata-u.ac.jp/~neuroscience_of_disease/index.html
<大学院情報>
新潟大学 医学研究科