(2017年新設)生体構造解剖学分野:仁田研究室
兵庫県 神戸大学 医学研究科(募集区分:修士、博士)
主な研究課題
1) 微小管ダイナミクス制御の生理・病理機構(学術変革領域(A)クロススケール新生物学)
細胞は、器官・組織に特異的な機能を発現するため、その機能に適した形態へと「かたち」を変える。それを先導するのが微小管をはじめとした細胞骨格であり、またその異常により、神経変性疾患や心不全などの病態を発症する。本課題では、細胞によって異なる様相を呈する微小管ネットワークがどのように形成されるのか、その根本のメカニズムを解明するとともに、その破綻による疾病発症のメカニズムにも迫る。
*非中心体性微小管ネットワーク形成の分子機構:神経細胞、上皮細胞、(心)筋細胞など、中心体に依存しない微小管ネットワーク形成機構を解明する。(Imasaki et al., bioRxiv 2021; Shigematsu et al., JCB 2018)
*神経細胞軸索における微小管ネットワーク形成・制御の分子機構。(Shima et al., JCB 2018; Yajima et al., JCB 2012; Niwa et al., Sci. Rep 2017; Sumi et al., Cell Struct. Funct. 2018
*微小管モーターキネシンの動作機構と微小管ダイナミクス制御:細胞内の物質輸送を司る微小管モーターキネシンは、微小管の安定性の制御にも関わっている。本研究では、キネシンの運動機構解明に加え、キネシンがどのように微小管の安定性を制御するのか、その分子機構を解明する。(Shima et al., JCB 2018; Morikawa et al., EMBO J. 2015; Hirokawa et al., Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 2009; Nitta et al., NSMB 2008; Nitta et al., Science 2004; Chang et al., JMB 2013; Taguchi et al., bioRxiv 2022; Wang et al,, eLife 2016; Ogawa et al, Cell 2004; Yamagishi et al., Structure 2016)
2) 転写制御を切り口とした生理・病理機構解明
*個体の恒常性を司る幹細胞制御システムの解明:造血幹細胞の維持機構からその破綻による白血病発症、老化メカニズムの解明
*新規白血病治療法開発に向けた転写メディエーター複合体CDKモジュールの転写制御機構の解析
3) 心筋メカノバイオロジー機構の構造基盤の解明(AMED-CREST メカノバイオロジー)
心臓は自律拍動する器官であり、また常に血圧=メカニカルストレスにさらされている。拡張型心筋症などの心疾患では、メカニカルストレス応答機構の異常がその増悪に関与する。本研究では、メカニカルストレスにより正常・異常心筋細胞内で起こる分子構造変化を、クライオ電子顕微鏡技術により分子レベルで明らかにし、疾患の発症原理を解明するとともに、新規治療法創出に貢献する。
*拡張型心筋症のクロススケール構造解析による分子病理機構の解明 (Yamada et al., submitted, 2022)
*心筋一細胞ストレッチ技術と電子顕微鏡技術との融合
4) 神経変性疾患モデル細胞を用いたクライオ電子顕微鏡分子構造解析(JSTムーンショット目標2)
認知症の原因の三大疾患であるアルツハイマー型認知症、パーキンソン病、血管型認知症の分子・細胞レベルの構造異常を解明し、新たな治療薬早出へとつなげる。
5) 原子レベルで解明するトキソプラズマ寄生胞膜破壊と病原性因子によるその破綻(AMED 新興・再興感染症)
人体には、トキソプラズマなどの寄生虫感染時に働く生体防御機構が存在する。その中心的な役割を担うタンパク質群が、インターフェロン誘導性GTPaseである。これらのタンパク質群が、どのように寄生胞膜(寄生虫を内部に匿う膜構造)を破壊するのか、その分子機構を原子レベルの構造解析により解明する。 (Saijo et al., Life Sci. Alli. 2022)
6) クライオ電子線トモグラフィー技術の整備(学術変革領域(A)クロススケール新生物学)
クライオ電子線トモグラフィー法(Cryo-ET)は、細胞内の分子構造をサブナノメートルの分解能で可視化できる画期的な技術である。本手法のスループットを上げるとともに、時間軸・空間軸の異なる様々な手法を併用して、将来的な分子病理診断学への応用を目指す。
主要な研究手法
クライオ電子顕微鏡構造解析:単粒子解析、クライオ電子線トモグラフィー
X線結晶構造解析
超分子複合体の組換えタンパク質調整
フローサイトメトリー(FCM)/蛍光活性化セルソーティング(FACS)
次世代シークエンス解析
バキュロウイルス-昆虫細胞組換えタンパク質発現システムによる超分子複合体の組換えタンパク質調整
主要な研究設備
透過型電子顕微鏡:日本電子JEM 1400-Plus
クライオトランスファーホルダー:Gatan 626
真空蒸着装置:日本電子IB029510VET
急速凍結装置:Leica EM GP2, Thermo Fisher Vitrobot MARK IV
光電子相関顕微鏡:Leica Cryo-CLEM
液体クロマトグラフィーFPLC:Cytiva Acta pure, BioRad NGC Quest 10 Plus
全反射照明蛍光顕微鏡:NIKON Ti2-LAPPシステム全反射エバネッセント顕微鏡
仁田研究室の主な研究成果
著者名 Shigematsu H (研究員) et al.,
雑誌名 Jourmal of Cell Biology (2018.12)
プレスリリースはこちら(日本語)
著者名 Nitta R (助教) et al.,
雑誌名 Nature Structural and Molecular Biology (2008)
著者名 Nitta R (助手) et al.,
雑誌名 Science (2004)
2022年に発表された論文
著者名 Yamada H (准教授) et al.,
雑誌名 Front. Cell. Infect. Microbiol (2022.09)
著者名 Imasaki, T (助教) et al.,
雑誌名 Elife (2022.06)
著者名 Taguchi S (大学院生) et al.,
雑誌名 Elife (2022.02)
2021年以前に発表された主要論文
著者名 Hamano YS (博士研究員) et al.,
雑誌名 Life Science Alliance (2021.07)
著者名 Watanabe TM (共同研究) et al.,
雑誌名 The Journal of cell biology (2018.12)
著者名 Shigematsu H (研究員) et al.,
雑誌名 The Journal of cell biology (2018.12)
著者名 Nitta R (教授) et al.,
雑誌名 Microscopy (Oxford, England) (2018.05)
著者名 Sumi T (大学院生) et al.,
雑誌名 Cell Structure and Function (2018.02)
雑誌名 顕微鏡 (2018)
URL https://www.jstage.jst.go.jp/article/kenbikyo/53/2/53_85/_article/-char/ja/
著者名 Niwa S (助教) et al.,
雑誌名 SCIENTIFIC REPORTS (2017.09)
著者名 Wang D (大学院生) et al.,
雑誌名 ELIFE (2016.09)
著者名 Yamagishi M (大学院生) et al.,
雑誌名 STRUCTURE (2016.08)
著者名 Morikawa M (大学院生) et al.,
雑誌名 EMBO JOURNAL (2015.05)
大学院生・医学部生など、若い人たちが活発に研究し、議論し、楽しんでいます。
*誰も見たことがない世界を見てみたい人
*クライオ電子顕微鏡を経験してみたい人
*Wetな実験とDryな解析の両方をやってみたい人
*新しい発見にワクワクしたい人
*病気の原因分子を観察したい人
ぜひ一緒にやりましょう!これまでの経験は一切問いません。研究室のメンバーの出身大学・学部は様々で、研究室に来て初めて分子生物学、構造生物学、細胞生物学、遺伝学などの研究を始めた人がほとんどです。
私が神戸大学に着任してから撒いた研究の種が実りの時期を迎え、さらなる発展が期待できる研究課題がたくさんあります。 原子レベルから個体レベルまで様々な手法を学べる、またクライオ電子顕微鏡や次世代シークエンス解析など、ユニークな研究手法も経験で切る研究室です。
以下のホームページもご覧ください。 http://structure.med.kobe-u.ac.jp
興味のある人は、ラボを一度見に来てください。
2017年6月に新設された後のデータになります。
・大学技術教員
・人材派遣会社 (研究職)
・病院医師
・大手企業 (音楽制作)
〒650-0017 神戸市中央区楠町7丁目7-5-1
生体構造解剖学分野
2022年 4月入学者についての入試情報 (2021年 7月2日更新)
<大学院入試の過去問>
神戸大学の教務学生係に申請をすると過去問を閲覧することができます
閲覧できる範囲は英語試験 (修士、博士両方とも)のみ、3年分です
以下のURLより詳細を確認してください
https://www.med.kobe-u.ac.jp/GRADN/nyuushi/kakomon/kakomon.html
<<注意>>
新型コロナウイルスの影響により、試験の情報が急に変更になる可能性があります。
【修士課程】
医学研究科 バイオメディカルサイエンス専攻
<試験日程>
2021年 7月 2日
2021年 1月 24日
<入試科目>
・筆記試験(英語) (辞書の持ち込み禁止)
・口述試験
※英語試験について
TOEIC, TOEFL, IELTSのスコアシートの提出が可能
ただし、英語試験の受験は必須です
スコアシートの点数が筆記試験の英語より高得点の場合、スコアシートの点数を採用されます
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【博士課程】
医学研究科 医学専攻
<試験日程>
2021年 10月 16-17日
<入試科目>
・筆記試験(英語) (辞書の持ち込み有)
・口述試験
※英語試験について
TOEIC, TOEFL, IELTSのスコアシートの提出が可能
ただし、英語試験の受験は必須です
スコアシートの点数が筆記試験の英語より高得点の場合、スコアシートの点数を採用されます
研究室概要
<メンバー構成>
仁田 亮 教授
吉川 知志 准教授
仁田 英里子 助教
今崎 剛 助教
技術員 3人
技術補佐員 1人
事務員 1人
博士研究員 1人
博士学生 3人
修士学生 2人
学部生 10人
<研究室URL>
http://structure.med.kobe-u.ac.jp